笙と水泳

覚えた曲が10曲以上になってくると、今度はそれらを忘れないようにするのが大変です。

 ところで、私のもう1つの趣味は水泳です。週2、3回プールに通っています。ある程度泳げるようになると、その先はひたすら25mプールを行ったり来たり。まあ、そんな単純なスポーツが私の性には合っているのですが。

 「今日は○○m泳ごう」と目標を決めて泳ぎ始めるのですが、必ずどこかで何往復したか判らなくなってしまいます。単純なだけに、雑念が湧いてくるのです。手首に輪ゴムをはめ、1往復毎に左手から右手、右手から左手と交互に移すなどして、数を取る工夫をしてはみるものの、どうにもまだるっこしい。

 プールサイドでボンヤリしている時、ふと閃きました。「自分の25mは17~18ストロークだったな」と。

 雅楽の曲の1行は8小節です。クロールの2ストロークを1小節と見立てて頭の中で譜を唱えながら泳げば、25m泳ぐと雅楽のほぼ1行分です。「越殿楽(えてんらく)」が終われば75m、「蘭陵王(らんりょうおう)」が済めば400m完泳、という訳です。水泳が雅楽のためになる(肺活量が増えるかもしれない)とは思いましたが、雅楽が水泳に役立つ(往復回数の確認)とは予想もしませんでした。しかも覚えた曲の忘れ防止にもなる。雅楽と水泳の相乗効果です。

 しばらくは「今日は壱越調(いちこつちょう)で泳ぐぞ」などと決め、六調子すべてを満遍なくさらっていました。そのうち、壱越調だけで3000m分ちかくレパートリーが増え、1日で泳ぐことができなくなり、これはこれで困ったものでした。8年前の話です。SN

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